治験とは何か?参加方法・費用・安全性・リスクをわかりやすく解説

治験とはなにか?参加方法・費用・安全性・リスクを解説 治験を知る

このページは「治験と、わたし。」の入口です。
元 臨床研究コーディネーター(CRC)・現 臨床開発モニター(CRA)が、治験に関するすべてのテーマを記事にまとめています。
「何から読めばいいかわからない」という方は、この記事の目次から気になるテーマを選んでください。

この記事でわかること
  • 治験とは何か(定義・新薬承認の仕組み)
  • 治験の3つのフェーズの違い
  • 治験に参加する方法(3種類)
  • 参加前の準備と来院時に確認されること
  • 治験の費用・負担軽減費の仕組み
  • 安全性・リスクがどう管理されているか
  • 治験で関わってくる職種について

治験とは何か|新薬承認までの仕組みをやさしく解説

治験とは、新しい薬が国に承認されるために必要な、人を対象とした臨床試験です。

化学合成や植物、土壌中の菌、海洋生物などから発見された物質は、まず試験管や動物での実験を経て、病気に効果があり人に使用しても安全と予測されるものが「くすりの候補」として選ばれます。

ただし、動物実験の結果と人でのデータは完全には一致しません。そのため、新薬の承認には必ず人に使用したデータが必要です。この「人を対象とした試験」が治験です。


厚生労働省による定義は次の通りです:

人における試験を一般に「臨床試験」といいますが、「くすりの候補」を用いて国の承認を得るための成績を集める臨床試験は、特に「治験」と呼ばれています。
引用:厚生労働省「治験とは」

日本では、厚生労働省が効果と安全性を承認しない限り、薬として販売や処方はできません。治験は、新薬承認に必要な最後のステップです。

治験の3つのフェーズ|第Ⅰ相・第Ⅱ相・第Ⅲ相の違いと特徴

治験は大まかに分けると、第Ⅰ相から第Ⅲ相までの3段階(フェーズ)で構成されています。

第Ⅰ相|はじめて人に投与し、安全性を確認する段階
初めて人に「くすりの候補」を投与します。
体調の変化や体内での薬の動きを細かく調べるため、入院して行うことがほとんどです。

第Ⅱ相|患者さんを対象に用法・用量と効果を確認する段階
対象の病気を持つ患者さんに薬を投与し、用法・用量の調整と効果の確認を行います。プラセボ(偽薬)と比較する場合もあり、思い込みによる治療効果を排除します。

  • プラセボとは?
    有効成分が入っていない偽物の薬のこと。思い込みによる効果(プラセボ効果)を排除するために使われます。

第Ⅲ相|より多くの患者さんで最終的な効果と安全性を確認する段階
第Ⅱ相より多くの患者さんで、最終的な効果と安全性を確認します。参加期間は長くなることが多く、治験の中で最も規模が大きい段階です。

「参加条件が厳しい」と感じた方へ。年齢制限や検査値の条件がある理由、適格性基準の意味と向き合い方を解説しています。

治験に参加する方法|医師紹介・募集サイト・jRCTの3つ

① 医師からの紹介

治験を実施している病院やクリニックで、条件に合う場合に医師から紹介されます。病院のホームページで実施中の治験概要を確認できることもあります。

② 参加者募集・情報提供サイトで確認

治験参加者募集や情報提供を行っているサイトがあります。条件確認や情報収集用としても便利です。

※各社とは患者紹介の業務上で関わった経験がありますが、会社の選定や報酬に関わる立場ではありません。紹介する情報は中立的なものです。

注意

情報はあくまで条件確認用・情報収集用です。参加応募は条件を満たす場合に限り、自己責任で行ってください。複数サイトで情報を確認して、自分に合う治験を探すと安心です。ひとつの治験に参加が決まったら、他は必ず辞退してください。重複参加は不正とみなされ、将来的な不利益につながる場合があります。

③ 国のデータベース「jRCT」で自分で検索

Japan Registry of Clinical Trials(jRCT)は、国が運営する治験情報データベースです。
自分で参加条件や実施施設を確認できるため、主体的に治験を探したい方に向いています。

なお、応募しても条件に合わない場合は参加できません。

jRCTの画面の見方はこちらで解説しています。

治験参加の事前準備|来院前に用意すること・確認されること

来院前に準備しておくと、当日の手続きがスムーズになります。

来院前に準備しておくこと

  • 自分の病歴をメモしておく
  • お薬手帳や服薬中の薬の実物を持参
  • 事前に担当者に服薬中の薬の情報を送れる場合は事前に送付
  • 参加が決まった場合に備えて、スケジュールを確認


連絡が取れる状態にする
担当者からの連絡にすぐ応答できるようにしておくと安心です。治験中は緊急連絡が入る場合もあります。


来院時に確認される主な内容

  • 治験対象の病気の発症時期(罹患歴)
  • 持病(併存症)の有無
  • 服薬中・過去に使用していた薬
  • 他にかかっている医院
  • 妊娠予定(治験中は避妊が必要な場合あり)
  • スケジュール通り来院できるか。スケジュールを守れるか

上記に加え、治験参加中の体調変化は細かくチェックされます。なぜ入念に確認されるのか。確認された情報の取り扱いはどうなっているのか。規制についても踏まえて解説しています。

治験の費用|診察費・治験薬・負担軽減費の仕組み

治験では費用負担の仕組みが通常の診療と少し異なります。

費用の種類負担者
診察費・交通費参加者(通常の診療と同様)
治験薬の費用製薬会社が負担(参加者負担なし)
服薬中の検査費用参加者負担なし(ほとんどの場合)
負担軽減費製薬会社→参加者へ支払い(1回あたり7,000〜10,000円が目安)

検査費用がかからない理由は「保険外併用療養費制度」という制度のためです。わかりやすく解説している記事はこちらです。

負担軽減費の仕組みや相場について知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。

治験薬によって副作用が発生した場合は補償が用意されています。補償の対象か、手続きの流れを知りたい方はこちらをご覧ください。

治験の安全性|IRB・GCP・同意撤回の3つの仕組み

「治験って本当に安全なの?」という不安は自然なことです。
現代の治験は、複数の仕組みが重なって参加者を守る構造になっています。

① 事前審査(IRB)|第三者が治験開始前にチェックする

治験は開始前に、病院とは独立した第三者機関「治験審査委員会(IRB)」の審査を必ず受けます。審査に通らなければ、治験は一歩も前に進められません。

IRBについて詳しいことを知りたい方はこちらをご覧ください。

② 国際基準GCP|参加者の権利・安全・データを法的に守る仕組み

治験はGCPという法令に従って実施されます。参加者の権利・安全・データの信頼性が法的に担保されており、違反した場合は行政処分の対象になります。

GCPはどのような基準か、わかりやすく解説しています。

③ 同意撤回の権利|いつでも・どんな理由でもやめられる

治験はいつでも・どんな理由でもやめることができます。また参加前には必ずICF(説明文書)による丁寧な説明と同意取得が行われます。

ICFに何が書かれているのか、どんな説明を受けるのかについて解説しています。

一度同意書にサインしたけど、やっぱり参加をとりやめたい、となった時の手続きの流れはこちらで確認できます。

治験のメリット・デメリットを整理したい方へ

治験へ参加するかどうか悩んでいるけれど、判断の方法がわからない。そんな方に向けて現場の人間がメリット・デメリットを整理しています。

現代の治験のルールが生まれた歴史的背景

現代の治験のルールは、過去の苦い経験から生まれました。ニュルンベルク綱領からGCPの誕生まで、倫理の歴史を知ることで「なぜこう設計されているのか」が腑に落ちます。

治験に関わる職種

治験を実施する場合、医師やCRC、製薬会社側の人間など、多くの職種が関わってきます。どんな職種があるのか、興味のある方に向けて役割や患者さんへの関わり方をまとめています。

治験責任医師は病院(治験実施施設)内のリーダーです。ICFや症例報告書の作成責任、問題が発生した際の治験中止判断など、重要な役割を担っています。

治験に参加すると、「CRC」と呼ばれる人が関わってきます。来院のたびに顔を合わせ、体調を確認して、説明を補足して――治験中に患者さんにとって最も身近なスタッフです。

治験のデータや実施手順をチェックし、品質を管理する人がいます。それが「CRA」です。患者さんと直接関わることはありませんが、患者さんが安全に治験に参加できるよう活動しています。

まとめ|治験参加前に知っておきたいポイント

治験は、新薬を世に出すために欠かせない重要なプロセスです。安全性・効果を確認するための条件と仕組みがしっかり設けられています。

参加方法: 医師からの紹介 / 専門サイト / 国の公式データベース「jRCT」

事前準備: 病歴・服薬情報の整理 / スケジュール確認 / 担当者と連絡が取れる状態の確保

費用: 治験薬・検査費は原則負担なし / 負担軽減費あり / 補償制度は法律で義務づけられている

安全性: IRBによる事前審査 / GCPに基づく管理 / いつでもやめられる権利の保障
この記事を出発点に、気になるテーマの記事を読み進めてみてください。

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